「競合他社（同業他社）の企業への転職は禁止ではないのでしょうか？」と転職に思い悩んでいる方いませんか？

競合他社（同業他社）の企業への転職は実際、少なくない転職先の選択の一つです。
今回はそんな競合他社（同業他社）への転職はありなのかなしなのかについてや転職の際のメリットデメリットにも触れながら解説していきます。

これまでの経験やスキルを活かして同業他社への転職を考える人は多いと思います。
法律上、労働者には「職業選択の自由」が認められています。
そのため、競合他社（同業他社）への転職は原則問題ありません。

しかし、注意が必要な就業規則や誓約書で制限しているケースがあります。
「競業避止義務（きょうぎょうひしぎむ）」という従業員が雇用契約終了後に一定期間、競合他社で働いたり、競合する事業を立ち上げたりすることを制限する契約上の義務が課されている場合、損害賠償請求されてしまう可能性がありますので注意が必要です。

【競業避止義務（きょうぎょうひしぎむ）】
競業避止義務とは、従業員や取引先といった個人や組織に対して、企業の不利益となる競業行為を禁ずるものです。
「～年間は同業他社に転職しない」といったに誓約書への署名を求められることがあります。
就業規則に記載されていることもあり、一定期間競業する別の会社へ転職を禁止することや、競業する会社を自分で立ち上げ元同僚などを引き抜くこと、自社で得た顧客リストを使って他社で営業活動をすることなどを禁止する項目があります。

競業避止義務が存続する期間は企業が定めており、誓約書や就業規則に明記されています。
6カ月～2年を設定するケースが多く、3年を超えた期間を設定されている場合は不当に労働者の権利を制限したと見なされるため、過去の判例では認められないケースもあります。

転職活動中に企業に評価されるために重大な情報の漏洩や、役職者などのキーパーソンを引き抜く行為は損害賠償の対象となりうるので気を付ける必要があります。

競合他社への転職には、多くのメリットがありますが、同時にいくつかのデメリットやリスクも伴います。
主なメリットやデメリットについて解説していきます。

【競合他社（同業他社）へ転職するメリット】

①即戦力としての評価
同じ業界での経験があるため、新しい職場で即戦力として期待されることが多いです。
業界の雰囲気や業務内容を知っていることから、「仕事が合わない」という理由により早期退職するリスクが低いという点も評価されるポイントになります。
業界特有の知識やスキルをすぐに活かせるため、早い段階で成果を出しやすい観点から採用の可能性も高くなっています。

②キャリアアップの機会
競合他社では、新しい役職や責任のあるポジションを得られる可能性があり、キャリアアップにつながることがあります。
即戦力としてすぐに生かせる経験やスキルがある転職者は、転職市場では需要が高く、収入アップをかなえやすい傾向にあります。また収入だけではなく、交渉次第では待遇の改善も期待できます。
なので面接の際までに企業が求めている経験やスキルに対し自身の経験やスキルが生きてくるのかの確認も必要です。

③業界知識の深化
同業他社で働くことで、業界全体に対する理解が深まり、より広い視野を持つことができます。
異なる企業文化や経営戦略を学び、自分のスキルセットを多様化できます。
新しい職場での同僚や上司との関係を築くことで、業界内のネットワークが広がります。
将来的なキャリアやビジネスチャンスに役立つ人脈が形成されます。

【競合他社（同業他社）へ転職するデメリット】

①期待値の高さ
メリットにもある即戦力としての評価が期待値としてプレッシャーに感じる方も少なくありません。
自らにかかるプレッシャーをいい刺激として感じられるように目標を細かく設定して成功体験を積み重ねたり
新しい職場の上司や同僚へ相談して、アドバイスをもらったりとプレッシャーを和らげる方法を探してみましょう。

②前職の上司や同僚と疎遠になる可能性がある
業界によっては業界内セミナーなどで競合他社（同業他社）との接点があるところもあります。
前職の中には、競合他社（同業他社）への転職に対していい印象を抱いていない人がいる場合もあります。
これまでの人間関係が変わってしまう可能性があることを留意しておきましょう。

①自分のスキルと経験の整理
自分の強みやスキルを明確にし、それを新しい職場でどのように活かせるかを考えます。
過去の実績や成功事例を整理し、転職面接で具体的に説明できるように準備します。
面接の際には話を盛らないように注意しましょう。
同業への転職の場合、業界や職種に精通している可能性が高いので自分を大きく見せすぎたり現実より盛ったアピールをしたりすると、すぐにバレてしまいます。
また仮に入社できたとしてもその後のプレッシャーになるので気を付けましょう。

②業界研究と企業調査
転職先の企業について詳細な調査を行います。
企業の文化、ビジョン、価値観を理解し、自分がその企業にどのように貢献できるかを考えましょう。
同じ業界内での転職の場合、異業種や異業界への転職よりもハードルが低いと感じる方もいると思いますが、
同業だからこそ自身の強みや経験を応募先企業で、どのように生かし活躍できるのかをアピールかがポイントになります。
業界の最新動向や競合企業の状況を把握し、自分の知識をアップデートしておきましょう。

③転職の理由を考えておく
面接ではほぼ必ず転職理由（なぜ同業種への転職なのか）を聞かれます。
同じ業過であるため「前職がなぜうまくいかなかったのか」「同じ理由で退職してしまう可能性があるのではないか」を採用の面接官は気にしています。
「スキルが生かせない」、「キャリアアップができなかった」などのネガティブな理由を伝えるのではなく、
「仕事の領域を広げたい」、「2年以内にリーダーを目指したい」など前向きな言葉に言い換えて話しましょう。
言い換えのポイントとしては応募先企業では実現できる目標を示すことです。

前職の人とは同じ業界で今後も働くため、いろいろなかかわりがある可能性が高いです。
転職をした後も前職に対してモラルのある行動を心掛けましょう。
前職の機密情報や顧客情報を漏らさないことはもちろん、前職の問題点や悪評を流さないなど、常識的な行動を取るようにしてください。

また、円満に退職するためにも、内定をもらってから上司には早めの報告を行うことや引継ぎ業務をしっかり行うなど未然にトラブルは防いでおきましょう。

法律上、労働者には「職業選択の自由」が認められています。
そのため、競合他社（同業他社）への転職は原則問題ありません。
しかし、競業他社への一定期間の転職や起業を禁止する「競業避止義務」に違反した場合は、損害賠償を支払わなければいけないこともあるので事前の確認も重要な要件です。

競合他社（同業他社）への転職を成功させるためにも応募企業の情報だけではなく現職の就業規則も確認しましょう。